ぜろ通信

嘉向徹と保科亮太のブログです。└( ^o^ )┐

稲むらの火 ー 駄目なところが駄目なままで駄目じゃない

 昔、むかし、佐渡ヶ島にある野浦という村に、八兵衛という男が住んでおったそうな。

八兵衛は生来のダウナー系コミュ障のため、国立大学を中退したニートだったが、隣に住む鈴(すず)が分かりやすく大好きだった。

ある夏の夕暮れ、その日は村祭りで、鈴と婆さんが神社に出かけていった。八兵衛も珍しくわくわくしながら小ざっぱりした着物に着替えていた時、突然、ぐらぐらと長い横揺れが起こった。

 ー長い地震の後には津波が来るー

八兵衛は村の古老・源右衛門から聞いたことを思い出し、はっと海を見た。

すると、海の水がものすごい勢いでどんどん沖に引き始めていた。

「鈴、すず」

八兵衛は大急ぎで松明に火をつけ神社に走ったたが、津波の到達するまでにはとても間に合わないと思った。

「どうすりゃええんじゃ」

途方にくれて見上げた空に、星々が美しく輝きはじめていた。それが野浦の棚田に広がる黄金の御米粒たちの姿と重なった。

八兵衛は、はっとして山へ駆けだした。

左胸を前に突く音がどんどん大きくなっていく。

やるしかない、やるしかない。

八兵衛は、稲刈り後の田にあった稲むら(稲の束)に火をつけて皆に気づいてもらおうと考えたのだった。

ー今年も本当に助かったよ

ボスと皆で一生懸命に稲刈りをした日々を思い出した八兵衛は、それらの稲に火をつける事にためらいを感じた。

そこでなんと、せっかく苦労して刈った八兵衛家の稲むらに火をつけたのだった。

「おとうさん、ごめんよ」

めらめらと燃え上がる稲むらからは、もくもくと煙が上がり、祭りに夢中になっていた村人たちもすぐに気が付いた。

村人たちが火事を消そうと駆けつけた。

津波が来ている、山へ逃げろ」

八兵衛は婆さんを背負い、鈴と一緒に駆け出した。

もう目の前に津波が迫ってきていた。村人たちは必死になって山を駆けのぼった。

八兵衛たちが最後に山へ登りきった時と津波が村を飲み込んだのは、ほとんど同時だったそうな。

幸いにも村の中で誰一人死んだ者はなかった。

その日を境に、村の人々は八兵衛家へと余った米を分け与えるようになった。

八兵衛のコミュ障はほとんど治らなかった。

 

 

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 「稲むらの火」のスピンオフはこちら

10月10日(月) - 天パ日記

 

 

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明日死ぬかもしれない。